Pages - Menu

Apr 25, 2012

ステレオタイプ(ロブさんのブログから)


Photo's Source: Uniforms and Insignia of the Luftwaffe by Brian Leigh Davis

皆さま、こんにちは。

昨日ドイツ人の友人ロブ・シェーファーさんが日記に、とある歴史改変小説の感想文を書いていました。私もそれを読んで「ああ、そんな気持ちになったことある!」と思ったので。 
 
もしかしたら、前にもお話したかもしれませんが、お祖父さんがドイツ国防軍の第1歩兵師団にいらした縁で、ロブさんはこの師団について研究されています。ウェブサイトには、
「このプレゼンテーションは特定の科学的研究と市民教育のためのものであり、軍事的側面で現代史の出来事を報告するものである(刑法86及び86A)。(略)このページは史実を詳細に調査するためのものです。ナ●スと彼らの支持者との関わりは望ましくありません」
 
といった注意書きが事細かに書かれていて、研究目的としてのページ作りを強調されているのが伝わってきますし、ドイツでの取り締まりの厳しさがうかがえます。 ちなみに、ドイツでは鉤十字は学術目的以外の使用は禁じられています。(ただし、斜線を入れたりして反ナチ活動に使うなら使用して良いらしい)
こんなにドイツが徹底しているのは、ずっと暗闇の歴史と対面していかなければならない事実があるからだろうと思います。

戦時中、民族浄化に反対して嫌悪感を示したドイツ人はたくさんいて「諸国民の中の正義の人」とされているドイツ人がどれだけ多い事か。総計は10位以内に入っています。
前にもお話しましたが、友人の大叔父はSS大佐であったにもかかわらず、親類のレジスタンス活動を黙認し、ゲシュタポの捜査から守りました。最近読んだベルリンの反ナチ活動家ルート・アンドレアス=フリードリヒの日記にも「水晶の夜」から逃げてきたユダヤ系の友達を匿う様子が記録されています。1人や2人ではなくて「どこで寝ればいいの?」と言いたくなるほど押し寄せたとの事でした。

だから、ドイツ軍の事を「ナ●ス」とくくられたら頭にくるに決まっていますし、映画でよく見る残忍なイメージをただただ投影されてはうんざりするのも当り前。
ところが殆どの人がそれに気付かないで一緒くたにしがち。事実だけならまだしも「ナ●スだから何やらしてもいいんだ」とフィクションでも誇張表現されてしまい、それがヒットしている。こういった事実をロブさんは懸念されていました。

 著者の基本的な考え方は素晴らしいですし、軍事・歴史スリラーのための素晴らしい設定だったと思います。しかし、アマゾンの「優れた」レビューを見て(いくつかの抜粋は略します)レビュアーがこの本を実際に読んだかどうか疑問です。(略)

 アフリカの武装SSは唐突に黒服を着ていました。
「熱帯服、夏用正装、または「灰緑色(フェルトグラウ)」さえも読んだこと全てを忘れてください。彼らは凶悪な、汚い野郎で、豚のような発汗を気にしませんし、同様にカモフラージュする必要がないので彼らは全て(頭蓋骨が余分に施してある)公的な黒を着ています」
 彼ら(良いレビューを書いた人)はそれらに「アルゲマイネSS(一般SS)」が混ざっていることを誰も気付いていません。

 また、好きは好きでも「ナ●スのファッションが好き」とか「ナ●ス好き」とか気軽に言うのもどうなんだろう。「君はドキュメンタリーで強制収容所の屍の山を見たか?」とたずねたくなりますし「んじゃあ、事務所に行って入党してきたらどうなのよ」と言ってみたくなる。
 もっと言うと、ナ●は対抗勢力がナツィオナールゾツィアリスティシェ・ドイチェ・アルバイターパルタイ(国家社会主義ドイツ労働者党)をあざける時に使われた言葉なので、党員は自分たちのことはナ●とは言いませんでした。現在は蔑称を使うのを避けるために、NS~と言うこともある。これは党員自身が自分たちの事を指す際にも使っていました。(あるいは頭文字を取ってNSDAP)つまり、NS党員にとっても失礼な話なのよね......
 ドイツ軍の服に「ナ●スの制服」と言われたら「あたしゃね、ナ●大嫌いなのーー!」と叫びたくなりますわよ(汗)いいですかー「ナ●ス」は政党の名前であり思想のことですからねー。

で、ロブさんの話の続き。


 ドイツ人の話、小説の中のドイツ人は、3つの事柄によって特徴付けられます。彼らは信じられないほど愚かであり、とても残酷で、殺すことなど非常にたやすい。
 残念なことに、著者はこれらの邪悪なカリカチュア(風刺)がヨーロッパ大陸やアフリカ大陸の大部分をどんなふうに征服できたかを我々に伝えていません。

 ドイツ人のイメージはあまりにもステレオタイプで、ソーセージ、ザワークラウト、ビールだけを出すアフリカ・ドイツのレストランの説明さえありました。私は作家がドイツや文化について情報を把握しているか疑問に思わざるを得ません。そのおかしな、そして、さらに私がその侮辱を懸念する限り。
 私は世の中のどれくらいの人々が著者のスケッチした漫画を信じているかなんて知りたくありません。(略) ―ロブさんの日記から

私は感想文を読んで忍者と日本兵を思い出しました。忍者が黒服を着るのは闇に紛れ込まなきゃいけないから、カモフラージュのため。赤やら青やら黄色のフィクションの忍者も本物扱いされていやしないかと疑問に思いました(笑)ラスト・サムライでも日本人スタッフが反対したのに海外スタッフは忍者を出したがったらしいです。

忍者なら格好良く描かれていることが多いのでまだ良いんですが、日本の兵隊さんやセールスマンなんか眼鏡、細目、出っ歯、背が低い……などなどアレレな感じ。(そうそう、こんなふうに

 
They are non-stereotype men!

ステレオタイプ、それは読者や視聴者の期待が込められているものなのかもしれませんが、日本人でも彼らのようにものすごく顔の濃い人もいますからご用心ください(笑)


 
にほんブログ村 歴史ブログへにほんブログ村 海外生活ブログ ヨーロッパ情報へにほんブログ村 映画ブログ ドキュメンタリー映画へ

No comments:

Post a Comment