Apr 12, 2012

面白ポーランド兵映画 Ułani, ułani, chłopcy malowani




1939年戦争直前のポーランド騎兵部隊の姿を収めた貴重なカラーフィルムを見て、このかっこいい曲は何というの? と探していたら、先日ポーランド政府観光局さま が「Ułani, ułani(槍騎兵よ、槍騎兵よ)」という歌です、と教えて下さいました。ありがとうございます!馬だけに「馬に、馬に」と聞こえるのは私だけでしょうか(笑)実際にはウワニ、ウワニ。内容は軍歌ながら家族や恋人を想う騎兵の皆さんの心情が歌われていて、とても良いなぁと思いました。

それで、この歌詞を調べている時に、ちょっと面白そうな映画情報を見つけました。


ロペク役Krukowski(騎乗)、フェレク役Dymsza(右で馬を押さえている)、映画の1シーンより。




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Ułani, ułani, chłopcy malowani (槍騎兵よ、槍騎兵よ、偽りの男の子たち)

1932年(31年とも) ポーランド コメディ映画
監督: ミェチスワフ・クラヴィチ(Mieczysław Krawicz)
製作: Blok-Muzafilm 
協力: 第一軽騎兵連隊

キャスト
Kazimierz Krukowski  (Lopek ロペク)
Adolf Dymsza  (Felek フェレク)
Zula Pogorzelska  (Helka ヘルカ)
Mieczysław Frenkiel  (Grajdołek市長)
Maria Chaveau  (市長の奥さん)
Władysław Lenczewski  (大佐、槍騎兵連隊長)
Tadeusz Wesołowski  (副官の中尉)
Władysław Walter  (軍曹)
Czesław Skonieczny  (肉屋)
Ryszard Misiewicz  (Kogutek、市の書記官)
Stefania Betcherowa  (肉屋の奥さん)


解説: 
第一軽騎兵連隊の参加を得て、ミェチスワフ・クラヴィチ監督によって撮られ、Blok-Muzafilm によって製作された1932年のポーランド軍コメディ映画。

伝えられるところでは、映画はポーランド軍を嘲笑したため、1938年に国営の検閲によって削除されて「戦間期の20年で最も馬鹿な“軍道化芝居”コメディの一つ」とポーランド映画史家のマウゴジャータ・ヘンドリコヴスカ(Małgorzata Hendrykowska)に言われました。

映画は(ポーランド語で「ど田舎」の公称名である)グラヨドウェク市(Grajdołek)全ての女の子の中で一番かわいいと思われているメイドのヘルカ(Helka)の心をつかむために槍騎兵のような態度をとる2人の間抜け話を語ります。


印象
厳密には、面白「偽」槍騎兵映画!ポーランド騎兵連隊協力の大スペクタクルロマン、ではなくて騎兵ラブコメなんですね(笑)コメディ映画なのに消されるなんて! どうりで面白ポーランド兵の証拠(写真)が出てこないわけだわ~(違笑)

タイトルは「槍騎兵、槍騎兵、ニセモノ君」といった方がムードが出るでしょうか? 
騎兵連隊が協力、ということでそれが日本で言う自衛隊だとしたら・・・ゴジラ??絶対違うけどさ。



主役のカジミェシュ・クルコフスキー(Kazimierz Krukowski )、どこかで聞いた名だわ…と思ったら、POLSKIE TANGO 1929 - 1939 OLD WORLD TANGOS VOL.3に楽曲が収められていました。このアルバム、古い録音でポルスキタンゴが入っているのでおすすめ。

アドルフさんとクルコフスキーさんは歌手でもあり、お二人はポーランドで有名な俳優さんのようです。この作品の他にも、あぶ刑事のようにデュオを組んで「Lopek and Florek in kleynkunst」という演目でワルシャワのキャバレー「Qui Pro Quo」やその他のステージに出演していたとのことでした。劇中でアドルフさんが歌った曲をご紹介。その名も…

チンピラポルカ(The Hoodlums' polka - Adolf Dymsza)

ちょっと~~(笑)かわいい曲だけど。

静止画ですがQui Pro Quの入っていた建物が登場します。

クイ・プロ・クオ Qui Pro Quo (1919 - 1931) :
「取り返しがつかないほど迷った」ということで、1910年に建てられて1930年代まで営業していた文学と風刺がコンセプトのワルシャワのキャバレー。Luxenburga通りの地下にありました。(Luxenburga przy ul. Senatorskiej 29)

ワルシャワ文学キャバレースタイルを結晶化したこの劇場は、戦前までワルシャワのアートシーンにインスピレーションを与えていました。

このキャバレー名は「対価」「しっぺ返し」という意味のラテン語「quid pro quo(クイド・プロ・クオ)」 をもじったものでしょうね。※洒落が効いています。


載っている、あるいは載ってそうな文献
■Warsaw: the cabaret years by Ron Nowicki
■European Culture in the Great War:
The Arts, Entertainment and Propaganda, 1914 1918
(Studies in the Social and Cultural History of Modern Warfare)
■Mościcki T.: Kochana stara buda. Teatr "Qui Pro Quo", Łomianki 2008.
■Cabaret Performance: Europe, 1920-1940. Sketches, Songs, Monologues, Memoirs
■Caviar and Ashes: A Warsaw Generation's Life and Death in Marxism, 1918-1968
■Historical Dictionary of Poland, 966-1945


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